ハワード・ジョンソンが亡くなった。ジャズの世界で活躍したチューバ奏者で、チャールズ・ミンガス(好き!)やギル・エヴァンス(あんまり聴いたことない。)など大物たちにも愛された名人。ザ・バンドの『Last Waltz』にも参加していたので、見覚えあるひとも多いだろう。僕がジョンソンを知ったのは、タジ・マハールのバンドでの録音だった。
タジの『Real Thing』というアルバムは、71年のフィルモア・イーストでのライヴ録音。ホーン・セクションを従えての大所帯編成だが、そのホーン隊がチューバ4人という、物凄いイビツなもの。4人ともマルチ・リード奏者なので、色々持ち替えたりはしているようだけど、まぁ奇妙な編成であることには違いない。
このジョンソン率いるチューバ隊の暖かいアンサンブルが、滅茶苦茶いい雰囲気なので是非アルバムで聴いてもらいたいが、個人的に一番好きなのは”Ain’t Gwine to Whistle Dixie (Any Mo’)”というインスト曲。いわゆるカノン進行と呼ばれるコード進行で、柔らかいメロディが乗る。ほんとにすてきな曲だ。これの、ひとしきりソロ回しがあって、ピアノが盛り上げたあとの7分15秒あたりからエンディングにかけての箇所で、タジが「ジョンスンッ!!!カモーンッ!」と指名。そのあとのソロは、分厚いホーン・セクションをバックにしての口笛のソロなのである。ホーン・セクションが抜けたあとも、バンドが音量を下げていくなかジョンソンは口笛を吹いていて。それが、ちょっと調子っぱずれで最高なのだ。チューバは名手なのに。
タジとジョンソンの微笑ましい間柄が垣間見える気がして大好きなシーンだ。
こちらは、チューバ軍団での録音。重厚アンサンブル。
気になった方は、是非に情報を補足したり、音源に触れたりしてみてください。低音管楽器のパンチ力ってホントに凄まじい。