原稿仕事で、チカーノ・ソウルについて色々調べものをしていて、リズム&ブルースとメキシコみたいなことを考えているとき、そういえばと思い出したのがロング・ジョン・ハンターだ。
若い頃は、テキサスのエルパソから国境を越えてメキシコのフアレスのクラブで活動をしていたユニークなキャリアのブルースマン。フアレスというと、ベニチオ・デル・トロが出てた『ボーダーライン』とか、『皆殺しのバラッド』とか、麻薬がらみのおっかない映画でやたらと舞台になっている街。エルパソからは歩いても行けるので、夜の街の往来も盛んなようだ。チカーノやテハーノのリズム&ブルースも面白いが、テキサス・ブルースマンがメキシコ人リズム・セクションと組んで人気を博していたというのも、とても興味深い。こういうの、有名にならなかった人とか、レコード残さなかった人とか、実は結構あったのかも知れないね。
ギターのスタイルは、タフで荒々しいテキサス・スタイルというか、アイク・ターナーあたりにも通じる危険な香り。そして、メキシコ仕込みのせっかちなビートが変でとても良い。“Ride With Me”なんて、8時だよ全員集合の舞台転換のときの音楽みたいじゃないか。ジャンボマックスの動画を検索してしまいました。
クラッシュやストレイ・キャッツがカヴァーした“I Fought The Law”のオリジネイター、BOBBY FULLER FOURのボビー・フラーは十代の頃にハンターの弟子だったとか。実際、“El Paso Rock”をカヴァーしていたり。色々繋がります。